不活性ガスとしての用途

不活性ガスとしての利用

炭酸ガスは空気の1.5倍の比重を持ち、乾いた状態では他の物質とほとんど反応しません。この不活性ガスとしての性質を利用した用途です。


1.タンク・タンカーのパージガス

可燃性液体、あるいは気体用のタンクやタンカーの定期的な内部点検や修理を行う際、炭酸ガスや窒素で可燃性の蒸気やガス置換する必要が有ります。炭酸ガスは窒素よりも重くこの比重差で効率よく経済的にガスパージすることができます。また、貯蔵の時にもタンクシールガスとして使用し、爆発限界外にすることも行われています。

2.アーク溶接

溶融した金属が空気にさらされると、空気中の酸素・窒素と反応し、金属の酸化・窒化が起こり溶接部の強度が低下する上、外観、仕上がりも悪くなります。炭酸ガスアーク溶接は、炭酸ガスで溶接部を覆い、空気の侵入を防ぎながら溶接を行う方法です。
このほか、アルゴンも使用されますが、経済的に優れた炭酸ガスの利用が増えています。

3.加圧剤として

エアゾルやエア・ライフルなどに、安全性の高い炭酸ガスが加圧剤として利用されています。

4.消火

物が燃焼するためには温度と酸素が必要です。炭酸ガス消火器のバルブを開くと、温度の低い個体(粉末ドライアイス)と不活性な気体である炭酸ガスが放出され、酸素を火源から断ち消火します。その上、消火後ドライアイスも炭酸ガスも完全に空気中に飛散しあとには何も残らず、他の消化剤のような消化剤による二次被害がありません。このため重要な施設・整備・船舶・自動車車庫などの他、消火に水の使えないところに利用されています。

5.その他の利用

穀物の長期冬眠保存、穀物にまぎれ込んでいる虫の酸素欠乏による殺虫、ガス封入、ガス包装などの用途でも利用されています。